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「カンタ」から、「ノクシカタ」へ


クラフトリンクの大人気商品「ノクシカタ」。
バングラデシュのパキスタンからの独立戦争後(1972)、女性の収入向上手段として注目され「ノクシカタ」商品となった、バングラデシュの伝統刺しゅう「カンタ」。そして、現在では世界でも人気のバングラデシュを代表する伝統技術製品となっています。

今回、長年ノクシカタについて研究されてきた五十嵐理奈さんにお聞きしました。

Q1.「カンタ」とはどのようなものですか?      

五十嵐−もともとは「ぼろ布」を意味していました。古いサリー(南アジア圏で女性が着る1枚布の伝統衣装)を捨てるのがもったいないから何枚か重ね、ぐし縫いした、なんの模様もついていない継ぎ接ぎ布のことで、それを肌掛けに使っていました。「カンタ」の中でも模様が刺しゅうされているものは結婚式など人生の特別な日に使うものです。だから、普通に「カンタ」と言った時、現地の人が思い浮かべるイメージは、実は決して華美なものではないのです。

▼ バングラデシュの家庭で使われている「カンタ」
 

《写真で紹介》
左は、バングラデシュの農村で見せてもらった、着古した布を何枚か重ね、ぐし縫い(刺し子を施しています)を施した「カンタ」。刺し子することにより丈夫な布になる。右は、豪華なモチーフ(鳥、マンゴーなどの動植物)が刺しゅうが施されたクラフトリンクの商品。

Q2.「ノクシカタ」という言葉はどこから来たのですか?

五十嵐−「ノクシカタ」はジョシムウッディンというベンガルのムスリム詩人が1929年に書いて東ベンガルで広く読まれた詩集「Nakshi Kanthar Maath」(ノクシ・カンタの野原)で使われました。その詩は男女の愛の物語で、2人は恋に落ちて結婚しましたが、夫が濡れ衣で警察に捕まってしまい、ずっと帰ってきませんでした。妻は夫との思い出を毎日刺しゅう(ノクシカタ)で布に描きながら待ち続けましたが、夫が帰ってくる前に亡くなってしまい、その墓にはその刺しゅう布が掛けられました。ある日、村人は彼女の墓のかたわらで一人の男が倒れているのを見つけました。帰ってきた夫が、墓に掛けられた布を見て「ああ、これが妻のお墓だ」と分かり息絶えた、という内容です。この詩に出てきた布が、まさに模様がついたカンタ、ノクシカタなのです。この詩が広く知られていたので、「カンタ」を商品化するときに商品名として「ノクシカタ」が使われたのだと思います。

▼ 「ノクシカタ」に描かれる世界

《写真で紹介》
バングラデシュのベンガル地方では、母から娘へ継承される技術とされていた「カンタ」は、結婚や宗教儀礼用には、女性たちは豪華な刺しゅうを施します。モチーフにはそれぞれ意味があります。鳥には「幸運な出会い」、マンゴー豊穣、象には家族に幸せをもたらす、などの意味があります。

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Q3.商品化はどのように進んでいったのでしょう? 

五十嵐−1970年代後半からの商品化には、重要な役割を果たした女性が3人いました。一人はパキスタン出身の元ジャーナリスト、もう一人はヒンドゥーの財閥の人、そしてキリスト教徒のアメリカ人修道女でした。外部の目を持った、バングラデシュではマジョリティではなかった人たちが、カンタの商品化をとおして女性の経済的自立を目指したのです。その頃にオープンしたショナルガオンホテルを飾る大きなカンタをみんなで協力しあって作ったといいます。その後、だんだんクムディニやアーロンといった団体それぞれのブランドが作られていきました。

▼ 女性たちが生み出す、ノクシカタ製品

《写真で紹介》
バングラデシュ農村を訪れた時の一枚。ノクシカタ生産センターにて刺しゅうをする女性たち。大きな商品はみんなで仕上げます。囲んで下絵にそって刺しゅうを施します。センターでは、女性たちの元気な声が聞こえきます。家族のこと、自分のこと、日常の会話を楽しみながら情報交換をしています。

▼OMAKE ーノクシカタが作られるまで
デザイン画の紙の上にセロファンを重ね、デザインに沿って針で穴を等間隔に開けます。続いて布の上に先ほどのセロファンを置き、青色の粉を塗り、刺しゅうのデザインを布に写します。そのあとは、デザインに沿って刺しゅうをし、モチーフの隙間に布と同じ色の糸で刺し子を施します。最後に、洗濯して染料を落とし、アイロンをかけ縫製したら完成!

   
機械への糸の微妙な調整や操作を生産者が行い、布の品質管理を行っています。でもネパールは慢性的な電力不足のため日中でも計画停電を行う地域が多くあります。こうした限られた電力の中でも丁寧に織られた竹布は、シルクのような手触りを感じることができる魅力のつまった衣料品になります。

(本インタビューは、Craftlink通販カタログ2015年春夏号に掲載されています)


五十嵐理奈五十嵐理奈 福岡アジア美術館 学芸員
大学院時代にダッカ大学へ留学しカンタの商品化に関わる人々を文化人類学的視点で研究。以後、バングラデシュの視覚文化、アジアの近現代美術を専門とする。(写真左)

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